
「帰宅困難者対策はしているが、社員がオフィスの硬い床で一晩過ごすことは考えていなかった」——防災コンサルティングの現場で最も多く聞く相談です。食料と水を備えていても、休息環境がなければ社員の判断力は72時間持ちません。この記事では防災マットまとめ買いの選び方と、社員が安心して休めるオフィス環境の作り方を解説します。

こんにちは、防災士で元消防士の石川です。東京都帰宅困難者対策条例で3日分の備蓄が努力義務となっていますが、食料・水に比べて「寝具」の備蓄は圧倒的に遅れているのが実態です。
📌 この記事でわかること
- なぜオフィスに防災マットが必要なのか
- 企業備蓄用マットの選び方 5つのポイント
- 防災士厳選のおすすめ5製品
- 社員が実際に休めるオフィス環境の作り方
- 購入前に押さえておきたいFAQ
BCP策定に関わってきた経験から、コスト・保管性・使いやすさの3軸で厳選しました。自社規模と予算に応じて最適な1台が見つかる構成にしています。
防災マットまとめ買いおすすめ5選

それでは、企業備蓄として実際に多くの企業で採用されている防災マットを、私が厳選した5製品でご紹介します。用途と予算に合わせて選んでください。
①キングジム 防災マット BMT100(バルブ自動膨張・連結可能)

②アイリスオーヤマ エアーベッド ABD-1N(厚さ22cm・快適性重視)

③簡便エアーマット(300kg耐荷重・企業採用実績多数)

④快適エアーマット Plus(枕機能付き・独立空気室)

⑤カクセー非常用エアーマット AMT-01 超コンパクト・最安クラス

なぜオフィスに防災マットが必要なのか

内閣府の首都直下地震被害想定では、都内で最大約517万人の帰宅困難者が発生するとされています。公共交通機関が止まれば、社員はオフィスに数十時間から3日間滞在することになります。
東日本大震災の被災者の声で最も多かったのは、実は食料不足ではなく「寒くて、痛くて、寝られない」という睡眠問題でした。硬い床の上では、毛布1枚だけでは体の痛みと底冷えで眠ることができません。
睡眠不足は判断力を著しく低下させます。災害対応の初動は発災から72時間が勝負ですが、この時間帯に社員がまともに休めないと、二次災害や業務復旧の遅れにつながります。防災マットは「贅沢品」ではなく「事業継続のための必需品」です。
私が過去に関わった企業でも、毛布のみの備蓄だった会社が実際の震災時に翌日の出社率が6割以下まで落ち込んだ事例がありました。一方、エアーマットを備蓄していた企業では、翌朝からすぐに業務再開できたとの報告も上がっています。
オフィス用防災マットの選び方5つのポイント

企業向けに防災マットをまとめ買いする際は、家庭用とは異なる視点が必要です。以下の5つのポイントを押さえましょう。
①保管スペースとコンパクト性
社員100人分をまとめ買いするなら、保管スペースの確保は最優先課題です。未使用時は厚さ数mm〜数cmに畳めるタイプを選ぶことで、ロッカーや書庫の隙間にも収納できます。
②空気の入れやすさ(緊急時の展開スピード)
災害発生直後は社員全員がパニック状態です。バルブを開くだけで自動膨張するタイプか、ストローで5分以内に膨らませられるタイプがおすすめです。電動ポンプは停電時に使えないため、業務用としては不向きです。
③厚みと断熱性
最低でも厚さ5cm以上を目安にしてください。それ以下だと、床の硬さと冷気が体に伝わり、熟睡できません。冬場の災害を想定すると、断熱性の高い独立空気室構造が理想です。
④耐久性と長期保管性
企業備蓄は5〜10年単位での保管が前提になります。逆止弁付きで長期間空気が抜けないものや、真空パック包装で劣化を防ぐタイプを選ぶと、入れ替えコストを削減できます。
⑤コストパフォーマンス(まとめ買い単価)
1枚あたり1,500円〜5,000円が業務用の相場です。100枚単位でまとめ買いすると、1枚あたり20〜30%安くなるケースもあります。助成金の対象にもなるため、見積もり時に確認しましょう。
まとめ買いのコスト目安(従業員100人企業)
・薄型エアーマット(1枚2,000円)×100枚=20万円
・厚手タイプ(1枚4,000円)×100枚=40万円
・年間ランニングコスト(5年交換時):4〜8万円
社員がオフィスで休める環境づくり5つのポイント

防災マットを揃えただけでは、社員は安心して休めません。物理的・心理的に休める環境を整えることで、初めて備蓄品の効果が発揮されます。
①仮眠スペースの事前指定
災害発生後に場所を決めていては遅すぎます。会議室A=男性用、会議室B=女性用のように、平時から用途を割り振っておきましょう。オフィスの見取り図に明記して、全社員に共有しておくことが重要です。
②パーティションでプライバシー確保
特に女性社員への配慮として、簡易パーティションや目隠し用の段ボール間仕切りを備蓄しておくと安心です。プライバシーが確保されるだけで睡眠の質は大きく向上します。
③照明と音の調整
蛍光灯の強い光は安眠の妨げになります。LEDランタンや間接照明を数台備蓄し、仮眠時には切り替える運用を作りましょう。停電時にも使える電池式が必須です。
意外と見落とされがちなのが「音」の問題です。サーバールームの駆動音やエアコンの音が気になって眠れない社員は多くいます。耳栓の備蓄も検討しましょう。
④体温調整アイテムとのセット運用
マット単体では寒さは防げません。アルミブランケット・寝袋・カイロとセットで備蓄し、冬場の災害にも対応できるようにしましょう。
⑤訓練での実地体験
年1回の防災訓練で、実際に防災マットを膨らませて寝てみる体験を取り入れてください。使い方の習熟だけでなく、「これで一晩過ごせる」という安心感が平時から醸成されます。
環境づくりに必要な備蓄品リスト
・防災マット(1人1枚)
・アルミブランケット(1人1枚)
・LEDランタン(10人に1個)
・簡易パーティション(5人に1セット)
・耳栓・アイマスク(1人1セット)
・使い捨てカイロ(冬季想定で多めに)
防災マット以外の企業備蓄品についても、以下の記事で詳しく解説しています。あわせてご参照ください。
防災マットまとめ買いに関するよくある質問
企業の防災担当者からよく受ける質問をまとめました。導入前の疑問解消にお役立てください。
Q:防災マットは何枚備蓄すればいいですか?
A:基本的には災害時の想定滞在人数分が必要です。テレワーク中心の企業なら出社率から算出します。従業員100人・出社率50%なら、余裕を見て60枚程度が目安です。
Q:入れ替え(更新)のタイミングは?
A:製品にもよりますが、一般的には5〜10年で劣化点検が推奨されます。真空パック包装品なら保存性が高く、逆止弁の経年劣化が最大のリスクです。年1回、無作為に数枚抜き取り検査すると安心です。
Q:経費計上はできますか?
A:はい、「福利厚生費」または「BCP対策費」として経費計上可能です。助成金対象にもなるケースが多いので、税理士と自治体に確認することをおすすめします。
Q:まとめ買いの際の最適な購入先は?
A:Yahoo!ショッピングや Amazonなら100枚単位でもポイント還元が大きく、企業アカウント対応もあります。法人用の見積書発行・請求書払いも可能な販売店を選ぶと経理処理がスムーズです。
Q:使用済みマットの処分方法は?
A:多くの製品はポリエチレン+ナイロンの可燃素材なので、自治体のルールに従って可燃ごみとして処分できます。ただし大量廃棄の場合は産業廃棄物扱いになるので、事前に確認が必要です。
まとめ:防災マットは社員の命と事業継続を守る投資
防災マットは「あると便利」ではなく「ないと社員の健康と業務継続が危機にさらされる」必須の備蓄品です。食料と水だけでは72時間を乗り切れません。
防災マット選びのチェックリスト
- 想定滞在人数分の枚数を確保している
- 厚さ5cm以上で底冷え対策ができている
- バルブ自動膨張orストロー式で電源不要
- 独立空気室など長期保管に耐える構造
- 連結可能でスペース効率が良い
- アルミブランケット・ランタンとセット運用
- 仮眠スペースを事前に割り当てている
- 年1回の訓練で使い方を習熟している
- まとめ買いで単価を抑えている
- 経費・助成金制度を活用している
今回ご紹介した5製品は、どれも企業備蓄での採用実績が豊富なものばかりです。自社の規模・保管スペース・予算に合わせて選んでください。
災害はいつ起こるか分かりません。社員の命を守り、事業を止めないためにも、「備えあれば憂いなし」の精神で今日から準備を始めてください。防災マット選びでお悩みの方は、SmileLife Inc.までお気軽にご相談ください。