こんにちは。防災の専門家の石川です。企業の防災担当者からの相談で最も多いのが「非常用トイレを何個備えればいいのか分からない」という声です。水や食料の備蓄計算はできても、トイレだけは基準が曖昧なまま放置されている企業が驚くほど多いのが現実です。
結論から言えば、従業員1人あたり1日5回×3日分=15回分が最低ラインです。この記事では、企業の備蓄数を従業員数から逆算する方法、選び方の基準、そして実際に導入すべき製品まで、現場視点で全て解説します。
- ✓ 自社の従業員数から必要備蓄数を即計算できる
- ✓ 国や東京都が示す根拠ある数字で根回しできる
- ✓ 失敗しない製品の選び方と運用方法がわかる
- ✓ 今日・今週・今月やるべき行動が明確になる

企業の非常用トイレ問題は「水や食料」より深刻である
内閣府の首都直下地震被害想定では、上下水道の本格復旧まで最大30日かかると示されています。東日本大震災の被災地調査(国土交通省)でも、避難所のトイレ確保が「発災後3時間以内」に切迫した課題になったと報告されています。
つまり、災害発生直後にまず困るのは食料でも飲料水でもなく、トイレです。人は飲食を半日我慢できても、排泄を我慢することはできません。企業が従業員を社内待機させる「一斉帰宅抑制」を実施するなら、トイレの確保は労務管理上の義務でもあります。

| 災害名 | 断水戸数 | 復旧期間 |
|---|---|---|
| 東日本大震災(2011) | 約257万戸 | 本格復旧24日 |
| 熊本地震(2016) | 約44.6万戸 | 応急復旧15日 |
| 能登半島地震(2024) | 約13.6万戸 | 2ヶ月後も一部断水 |
| 首都直下地震想定 | 約1,440万人影響 | 最大30日 |
従業員数から逆算する備蓄数の計算式
企業の備蓄数は感覚で決めてはいけません。「1人×1日のトイレ回数×備蓄日数×安全係数」で算出します。1人が1日にトイレに行く平均回数は、厚生労働省の生活実態調査ベースで約5回です。これに3日分を掛けて、来客や残業対応分の安全係数1.2を掛けます。
標準的な計算式
従業員数 × 5回 × 3日 × 1.2 = 必要備蓄回数。たとえば従業員50名なら、50×5×3×1.2=900回分が必要です。これは「100回分セット」を9個用意する規模感です。100名なら1,800回分、300名なら5,400回分が必要になります。
| 従業員数 | 必要回数(3日分) | 100回セット換算 | 概算予算 |
|---|---|---|---|
| 10名 | 180回分 | 2セット | 1〜2万円 |
| 30名 | 540回分 | 6セット | 3〜5万円 |
| 50名 | 900回分 | 9セット | 5〜8万円 |
| 100名 | 1,800回分 | 18セット | 10〜15万円 |
| 300名 | 5,400回分 | 54セット | 30〜45万円 |
| 500名 | 9,000回分 | 90セット | 50〜75万円 |
1週間分備蓄を目指す企業の場合
首都直下地震や南海トラフでは、3日分では足りないという認識が広がっています。BCPで1週間(7日)対応を掲げる企業は、上記計算の日数を「3」から「7」に置き換えてください。従業員50名なら2,100回分、100名なら4,200回分が目安です。
企業の非常用トイレ選び方の5基準
家庭用と企業用では選定軸が違います。企業は「保存期間」「防臭性能」「使用簡便性」「廃棄しやすさ」「コスト」の5軸で見ます。15年間ロッカーに眠らせて使うものなので、保管中の品質劣化に強い製品を選ぶことが鉄則です。

- ✓ 保存期間が10年以上(できれば15年)あるか
- ✓ 防臭袋が付属しているか(無いと社内が機能不全に陥る)
- ✓ 凝固剤が大便にも対応する高吸水ポリマー仕様か
- ✓ 排泄袋が便器カバーとして使えるサイズ(縦50cm以上)か
- ✓ 1回あたり50円以下のコスト感に収まるか
基準1 保存期間は最低10年
3年・5年保存品は安いですが、企業の備蓄担当者が3年ごとに入れ替えるのは現実的でありません。15年保存のものを選べば、担当者が変わっても次の更新まで持ちこたえられます。コスト比較は「単価÷保存年数」で行うのが正解です。
基準2 防臭性能の有無
社内で排泄物を3日間保管することになります。防臭袋が付属していない製品は絶対に選んではいけません。BOS(ボス)のような医療廃棄物レベルの防臭袋付き製品が、企業備蓄の標準です。
基準3 凝固剤の性能
1回分10g前後の高吸水性ポリマーが標準です。活性炭入りなら消臭効果がさらに高まります。凝固速度は1分以内が目安。これより遅い製品は液漏れリスクがあります。
基準4 設置と廃棄のしやすさ
便器カバーと排便袋がセットになっているか確認します。災害時に従業員が説明書を読まずに使えるよう、絵で分かるマニュアル付きが理想です。廃棄は可燃ゴミ扱いになる自治体が大半ですが、社内ルールも事前に決めておきます。
基準5 1回あたりのコスト
100回セットで4,000〜8,000円が相場です。1回あたり40〜80円に収まれば適正価格。極端に安い製品は袋が薄く、災害現場で破れるリスクが高いです。
製品タイプ別の比較でわかる違い
| タイプ | 保存期間 | 1回単価 | 防臭袋 | 企業適性 |
|---|---|---|---|---|
| BOS付き高機能型 | 15年 | 70〜100円 | あり(医療級) | ◎ |
| 日本製スタンダード | 15年 | 50〜70円 | あり | ◎ |
| 大容量コスパ型 | 10〜15年 | 30〜50円 | 簡易 | ○ |
| 輸入品・短期保存型 | 3〜7年 | 20〜40円 | なしが多い | × |
企業備蓄は「BOS付き」または「日本製15年保存」の2択が王道です。短期保存の輸入品は更新業務の負担で結局割高になります。大規模オフィスでコストを抑えたいなら、執務エリアはBOS付き、倉庫待機分はスタンダードという二段構えも有効です。
企業導入のメリットとデメリット
このセクションでは企業 非常用トイレ 備蓄数について、要点をやさしく解説します。

メリット
第一に、従業員の一斉帰宅抑制が現実的になります。トイレがあれば社内待機が成立し、二次災害のリスクを下げられます。第二に、BCP評価・健康経営優良法人認定で加点要素になります。第三に、近隣住民の一時受け入れにも対応でき、地域貢献の実績として広報利用できます。
デメリット
保管スペースが必要です。100回セット1個でA4サイズ縦・奥行20cm前後を占有します。50名規模で9セット必要なので、専用ロッカー1台分は確保してください。また、15年経過後の入替コスト計上も忘れずに、減価償却または消耗品費で計画します。
防災の専門家が厳選!企業備蓄に最適な非常用トイレ
使える商品リストから、企業備蓄に本当に向く製品を価格帯と機能で分散させて6点厳選しました。いずれも企業の防災担当者が実際に採用している、または採用検討に値する実力のあるモデルです。
第1位 BOS 非常用トイレセット Bセット 100回分

企業備蓄の本命です。BOSのBセット100回分は驚異の防臭袋BOSが標準付属し、15年保存に対応します。BOSは病院や介護施設で実績があり、便臭をほぼ完全に遮断します。執務フロアで使うことを考えれば、これ以外の選択肢は実質ありません。従業員50名規模なら9セット、100名なら18セットが目安です。
第2位 BOS 非常用トイレセット 50回分

小規模オフィス(10〜20名)や、フロアごとの分散備蓄に向きます。BOS 50回分は4,000〜5,000円の価格帯で、15年保存。各フロアの防災ロッカーに1個ずつ配置する運用が現実的です。100回セットだと重くて持ち運べないが、50回なら女性社員でも非常時に移動できる重量バランスです。
第3位 トイレの女神 PREMIUM 100回分

防災士監修・日本製・15年保存の三拍子が揃った安心モデルです。トイレの女神PREMIUMは排便袋と処理袋のダブル防臭構造で、企業の長時間保管に強い設計。サイズは23.6×22.3×19.7cmで、防災ロッカーに収まりやすい寸法です。Amazonランキング1位の実績があり、稟議で説得材料にしやすい点も企業担当者に好評です。
第4位 BOS 防臭袋BOS 非常用トイレ100回分

BOS純正の標準モデル。BOS防臭袋付き100回分は防臭袋100枚・凝固剤100袋・汚物袋100枚・便器カバー5枚の構成で、重量約4.6kg。15年保存。便器カバーが青色で識別しやすく、災害時に従業員がパニック状態でも誤使用しにくい設計です。来客者も多く利用する受付近くの備蓄に向きます。
第5位 エターナルレスキュー 凝 100回分

透明手袋100組と防臭袋4枚が付属する実用重視モデル。エターナルレスキュー 凝は半永久保存を謳う最新設計で、排泄袋を10枚多めに付属させて便器カバー兼用にできる工夫が現場目線です。寸法は高さ16×横23×奥行19cm。建設現場・工場など複数の従業員が連続使用するシーンに強いセット構成です。
第6位 SAIMOL 災害用トイレ 100回分

コストを抑えつつ必要十分な構成が揃うモデル。SAIMOL災害用トイレは排便袋・凝固剤・手袋・便器カバー・保管用処理袋がフルセットで、幅18×奥行9×高さ28.5cm、重量約1764gとコンパクト。大規模オフィスでまとめて数十セット導入する際の予算最適化に向きます。倉庫待機用の二次備蓄として配置するのが賢明です。
企業備蓄の運用と保管のコツ
備蓄して終わりではありません。災害時に「どこにあるか分からない」「誰も使い方を知らない」状態では意味がない。運用ルールを文書化し、年1回は防災訓練に組み込みます。

保管場所のルール
各フロアのトイレに最も近い場所に分散配置します。温度40度以下・直射日光なしが15年保存を維持する条件です。倉庫の最上段や屋上倉庫は夏場に高温になるため不適。地下倉庫か空調エリアに置きます。
使い方の周知
従業員全員にA4両面の説明シートを配布します。「便器カバーをかける→排便袋をセット→使用後に凝固剤をかける→袋を縛って防臭袋に入れる」の4ステップで図解。新入社員研修にも組み込みます。
使用済み袋の保管場所
意外と見落とされるのが、使用済み袋を3日分保管する場所です。屋外の雨に濡れない通気スペースが理想。屋上の物置や駐車場の隅などを事前に決めておきます。自治体の災害ゴミ収集が始まるまで、平均1週間は保管が必要です。
企業規模・業種別の備蓄パターン
このセクションでは企業 非常用トイレ 備蓄数について、要点をやさしく解説します。
| 企業タイプ | 推奨備蓄数 | 推奨モデル | 保管場所 |
|---|---|---|---|
| 小規模オフィス(〜30名) | 540回分 | BOS50回×11 | 給湯室・倉庫 |
| 中規模オフィス(30〜100名) | 900〜1800回 | BOS100回×9〜18 | 各フロア防災庫 |
| 大規模オフィス(100〜500名) | 1800〜9000回 | BOS+スタンダード併用 | 専用倉庫+分散 |
| 工場・現場系 | 従業員×7日分 | エターナル等手袋付き | 休憩棟・事務所 |
| 商業施設・小売 | 従業員+来客×3日 | BOS主体 | バックヤード |
小規模オフィスの場合
30名以下の企業は50回分セットを複数配置する方が、使用時に取り扱いやすいです。BOSの50回分なら4,000〜5,000円のため、稟議も通しやすく、女性社員でも持ち運べます。
中規模オフィスの場合
100名前後ならフロアごとに100回分セットを2〜3個分散配置します。エレベーター停止を想定し、階段で運ばずに済む配置が原則です。総務部の倉庫1ヶ所集中はNG。
大規模オフィス・本社ビル
500名規模では9,000回分(90セット)が必要です。執務エリアはBOS付き、地下倉庫待機分はスタンダード品という二段備蓄で予算最適化できます。
よくある失敗と対策
- ✓ 使用済み袋の保管場所を事前に決めていない
- ✓ 来客者・派遣社員分を計算に入れていない
- ✓ 帰宅困難者条例の3日分という基準を知らない
- ✓ 高層階の貯水ポンプ停止リスクを想定していない
- ✓ 女性用衛生用品(生理用品)の備蓄を忘れている
特に5番目は深刻です。非常用トイレと合わせて、女性従業員数×3日分の生理用品も同じ防災庫に保管してください。これは厚生労働省の災害対応指針でも明記されています。
FAQ(よくある質問)
このセクションでは企業 非常用トイレ 備蓄数について、要点をやさしく解説します。
企業の備蓄に最もおすすめの非常用トイレはどれですか?
BOSのBセット100回分が企業備蓄の本命です。15年保存で更新負担が最小、防臭性能は医療現場でも採用されるレベル。50名規模なら9セット、100名規模なら18セットが目安です。執務エリアに分散配置すれば、災害時の社内待機が現実的になります。
3日分で本当に足りますか?
東京都の帰宅困難者対策条例では3日分が努力義務ですが、首都直下地震では上下水道復旧に最大30日かかる想定です。BCPで本格的に備えるなら7日分を推奨します。最低3日、できれば7日と段階的に整備してください。
使用済みの袋はどう処分しますか?
多くの自治体で可燃ゴミとして扱えます。ただし災害時はゴミ収集が止まるため、社内の屋外通気スペースで一時保管します。雨に濡れず直射日光が当たらない場所を事前に決めておき、防臭袋に入れた状態で1週間程度保管する想定です。
トイレットペーパーも一緒に備蓄が必要ですか?
必須です。経済産業省の試算では1人1日約8m使用します。従業員数×8m×3日分を非常用トイレと同じ場所に保管してください。100名で2,400m、長尺タイプのトイレットペーパー約40ロールが目安です。
来客や取引先の分も用意すべきですか?
はい、計算に含めてください。来客数の多い企業は安全係数を1.3〜1.5に上げます。特に商業施設・銀行・病院などは従業員数の2倍を目安にしている事例が多いです。社会的責任の観点からも来訪者を排除できない前提で計画します。
備蓄品の入れ替えタイミングは?
15年保存品なら導入から13年目を目安に予算計上し、14〜15年目で入れ替えます。総務部の年次計画に「防災備蓄更新」を15年サイクルで組み込んでください。担当者交代時の引き継ぎ漏れを防ぐため、保管庫に製造年月の一覧表を貼っておくのが実務的です。
まとめ
企業の非常用トイレ備蓄は、従業員数×5回×3日×安全係数1.2で算出するのが基本です。50名規模なら900回分、100名規模なら1,800回分。BOS付きまたは日本製15年保存の製品を選び、各フロアに分散配置するのが正解です。
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